医療保険は必要か
入院やケガをした際にかかった費用が高額だった場合、公的医療制度である「高額療養費制度」や「傷病手当金」によって個人の支払いを一定金額におさえることができます。
民間の医療保険は、この公的医療制度の不足分をカバーするためのものです。
万が一、公的医療制度でまかないきれない出費や収入減となると、貯蓄を取り崩す状況になるため、マネープランが崩れる可能性があります。そんな不安を緩和、解消することが民間の医療保険に入る目的となります。
一定金額の保険料の支払いが長期的に確定していれば、いざというときの支出があったとしても民間の医療保険でカバーするすることができ、長期的な資産形成と計画をたてることが可能となります。
注意しなければならないのは、給付金の支払い条件は、保険会社や商品によって決まっているということです。入院やケガにより給付が必要となっても、条件に合致しない限り給付金を受け取ることはできません。
たとえば、支払限度日数が60日の医療保険に加入し、その後、80日間入院したとしても入院給付金は最初の60日分までしか支払われず、20日分はカバーすることができません。また、退院後180日以内に再度同じ病気で再入院した場合、その入院も1回の入院となされてしまいます。
それでも民間の医療保険が必要となる理由は以下の点が挙げられます。
公的医療制度対象外の費用に備える
入院の際に公的医療制度では賄われず、全額自己負担となる費用があります。
①先進医療費
治療の治療費は全額自己負担となり、また保険適用外のため、非常に高額になるケースがあります。
②差額ベッド代
4人部屋で1日約2,500円、2~3人部屋で1日約3,000円、1人部屋で1日約7,000円、病院によっては1日10,000円以上かかる場合もあります。
差額ベッド代が不要な部屋が空いていない場合は、重い負担になります。
厚生労働省の2017年「主な選定療養に係る報告状況」によると
平成28年7月時点での入院時の差額ベッド代の平均額は、
1人室 7,797円
2人室 3,087円
3人室 2,800円
4人室 2,407円
となっており、入院日数に応じた金額が全額自己負担となります。
③食費、交通費、消耗品など
入院中の食事は、1食あたり460円ほどかかり3食×460円=1,380円の自己負担が発生します。
また、交通費等は医療費控除の対象になりますが、入院給付金としてカバーしたほうが保障金額としては大きくなります。
〇長期入院により就労できない場合の収入の減少に備える
入院が長期に及んだとしても、会社員や公務員は、傷病手当金によって一定期間ある程度の収入を得ることができますが、給料の3分の2程は不足することも考えられます。自営業の方は、就労できない期間は収入が途絶えてしまいます。
医療保険では、万が一、入院が長期にわたる病気にかかったり、ケガをしたりしたときに収入が減るリスクにも備えることができます。特に自営業の方は、医療保険に収入保障の役割を期待することができます。
上記のように入院日数は減少傾向にあるとはいえ、病院での入院日数は平均が31.9日(「患者調査 厚生労働省 2014年」)となっており、その間の収入が確保しておくためにも医療保険でカバーすることが有効であると考えられます。