前立腺がん

前立腺とは

前立腺は男性特有の臓器で、精液の一部を作っています。大きさはクルミほどで、膀胱の下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。また、直腸と隣接しているため、発症すると排便や排尿機能に影響を及ぼしやすいです。

前立腺がんとは

前立腺がんは、アメリカでは罹患者数が1位、死亡者も2位ともっとも多いがんのひとつです。日本においては、罹患者数は増加傾向にありつつも、治療成績は高いため死亡率はそれほど高くなく、全体のがん罹患者のうち死亡率は5%ほどです。増加の要因としては、加齢に伴う要因が大きいので平均寿命が延びていることが前立腺がん患者数の増加要因の1つですが、検査精度があがり早期のがん発見数が伸びているからとも言われています。発症は60歳ぐらいから急増し、加齢に伴って発症率も増加します。また前立腺の位置上、リンパ節や骨盤に転移しやすいがんです。

発生要因

前立腺がんの発生要因としては、飲酒、喫煙、食の欧米化に伴う高たんぱく・高脂質の過剰摂取、加齢と言われます。

症状

初期症状はほとんどありません。進行すると、前立腺は尿道を取り囲むような構造をしているため、排尿障害が発生します。具体的には、トイレに行く回数が増える・尿の切れが悪い・いきまないと出ないなどです。そのほかにも、失禁、血尿、尿意はあるが出ない等が挙げられます。

検査・診断

前立腺がんの検査は主に、血液検査、触診、画像診断、組織検査に分けられます。

血液検査
腫瘍マーカー

前立腺がんは研究が進んでおり、腫瘍マーカーの中で最も有用なPSA(前立腺特異抗原)検査が行われます。少量の血液を採取するだけで、がんの進行度、治療効果の判定、再発の診断、予後の予測までできます、しかし、確定はできないので最後は組織検査により確定します。

触診

古くからおこなわれている診断方法です。前立腺は直腸と隣接していますので、経肛門的に触診します。ですが、ある程度の大きさにならないと触れることはできません。

画像診断
MRI

近年急速に進化している検査方法で、高い精度で前立腺がんを発見できます。

組織診断

局所麻酔(腰椎麻酔)、や全身麻酔を行い、エコーを用いて組織を採取します。その際は専用の自動生検装置(前立腺生検用の針)を使います。採取した組織を顕微鏡で観察し、がんの有無やがんの悪性度を判断します。

治療方法

外科的治療(手術)

前立腺がんに対して手術を行う場合は、ほかのがんとは違い基本的に部分切除ではなく、前立腺全摘除術になります。小さな臓器なので部分的に切除するのが難しいことと、全摘出しても命に関わりがないということが理由として挙げられます。一般的には周囲のリンパ節も予防的に摘出します。
 
下腹部を大きく開けて行う開腹手術と数か所小さく皮膚を切開し、その穴からカメラを入れて行う腹腔鏡手術がありますが、最近は腹腔鏡を用いる症例が増えています。2012年の診療報酬改定により、ロボット支援下内視鏡手術が保険適用になっています。

内分泌療法(ホルモン療法)

内分泌療法

前立腺がんは男性ホルモンで病気が進行する性質があるため、ホルモンの分泌、働きを抑制する薬によって前立腺がんの進行を抑える方法です。

化学療法

抗がん剤

内分泌療法で効果が効かなくなった場合に行われます。前立腺がんの抗がん剤治療の場合、がんの根治をめざすわけではなくがんの増殖や痛みを抑える消極的治療方法になります。

放射線療法

放射線療法

多くの場合化学療法と並行して行われます。一般的ながんとどうような治療方法もありますが、前立腺がんの場合、限られた条件限られた施設にはなりますが、小線源療法という独特の方法があります。放射線を出す物質を小さなカプセル状のものにつめ、前立腺の中に入れて、体内から照射する方法です。病変した組織の近くに留置できるため非常に高い線量を照射することができます。

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